大気汚染防止法の一部を改正する法律が2021年4月1日から順次施行されています。
本記事では、大気汚染防止法が改正され、どのような対応をしなければならないかについて解説していきます。
本記事は、
- 改正された大気汚染防止法がどのようなものか知りたい方
- 解体工事業などに携わっておられる方
- 不動産業を行っておられる方でリフォーム工事にどういう影響があるか知りたい方
向けにおすすめの記事となります。
大気汚染防止法の改正点について簡単に教えてほしい
どんな改正がされるか、ざくっと説明すると、
- 建築物等の解体等工事における石綿(アスベスト)の飛散を防止するため
- 全ての石綿含有建材への規制対象が拡大され、
- 事業者が都道府県への事前調査結果を報告することが義務付けされ、
- さらに作業基準の徹底のための直接罰が創設され、
- 解体工事、リニューアル工事を行うにあたっての規制が強化される
という改正になります。かなり大きな改正ですね。
ツイッターでは、2022年以降、建設業者に解体工事やリニューアル工事を発注すると、以前よりも高額な代金を請求されるという記事もあります。
たしかに、事前調査や報告をするだけでもお金がかかりますので、工事代が上がるのは間違いないです。
以下は、今回の改正内容の概要がわかる環境省のホームページのチラシです。
http://www.env.go.jp/air/air/post_48/20210909flyer.pdf
以下は、不動産の所有者向けに、建物の解体、改造、補修等を行う際の事前報告に関する
チラシです。
http://www.env.go.jp/air/air/post_48/20210715%20_jizenchousa_chirshi.pdf
主な改正内容
大気汚染防止法の改正がされた後に、全面的に施行されるのではなく、順次、規制が拡大されていっています。
2021年4月1日以降、規制が拡大されます
従来規制対象とされていた吹付け石綿(いわゆるレベル1建材)及び石綿含有断熱材等(いわゆるレベル2建材)だけではなく、令和3年4月1日以降は石綿含有成形板等(いわゆるレベル3建材)も法律の規制対象となり、新たに作業基準が設けられました。なお、レベル3建材については、従来どおり特定粉じん排出等作業(注記参照)を伴う建設工事(特定工事)の実施の届出は不要ですが、作業計画を作成し、当該計画に基づき作業を行うこととなりました。
(注記)石綿を多量に発生し、又は飛散させる原因となる石綿含有建材(いわゆるレベル1建材、レベル2建材)が使用されている建築物等の解体、改造、補修作業
作業基準を遵守する義務者が拡大されます(2021年4月1日施行)
作業基準遵守の徹底のため、元請業者のみに課せられていた作業基準の遵守義務を、令和3年4月1日以降は、下請負人にも課せられるようになりました。
発注者に対する作業結果を報告することが義務化されます(2021年4月1日施行)
特定工事の元請業者は、特定粉じん排出等作業が完了したときは、作業が適切に行われているか確認し、その結果を書面で発注者へ報告することが新たに義務付けられました。
事前調査結果を報告することが義務化されます(2022年4月1日施行)
一定規模以上の解体等工事の元請業者又は自主施工者は、調査結果を事前に報告することが義務付けられました。なお、報告用に新たに電子システムが整備される予定です。
<報告の対象>
床面積合計80平米以上の解体工事
請負代金合計100万円以上(材料費及び消費税を含む)の建築物の改造・補修作業
請負代金合計100万円以上(材料費及び消費税を含む)の環境大臣が定める工作物の解体・改造等工事
100万円以上の解体等の工事を受注する元請業者の負担が重くなります。
100万円以上の工事となると大分手間が増えることとなります。
事前調査の有資格化(2023年10月1日施行)
2023年10月以降は、石綿の事前調査について、一定の知見を有する者(建築物石綿含有建材調査者等)にしか行わせることができなくなりました。
罰則の強化
隔離等をせずに石綿(いわゆるレベル1建材)及び石綿含有断熱材等(いわゆるレベル2建材)の除去作業を行った場合や事前調査の結果を報告しない場合に対する直接罰の規定が新たに設けられました。
その他の改正内容は、次のとおりです。
上記の改正の他、事前調査の方法、事前調査結果の記録の作成・保存の方法、特定粉じん排出等作業の記録の作成・保存の方法並びに立入検査対象などについても改正されていますので、ご注意をお願いします。
こちらは、以下の環境省ホームページ(改正大気汚染防止法について)に説明がありますので、ぜひ御覧ください。
まとめ
今回の改正により、解体工事、リニューアル工事を受発注する際、新たに取り組まなければならないことが増えることとなりますので、関係する業者さんには影響が大きいと思われます。
また、罰則もありますので、ご注意をお願いします。
御覧いただきありがとうございました。
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