固定資産税とは、1月1日現在の土地、建物等の所有者に対して、課税される税金です。
毎年4月頃に市町村から、納付書が自宅に郵送されて来ますが、毎年、自動車税とともに支払いに頭を悩ませている税金だと思います。
固定資産税は、後ほどご説明するとおり、1月1日現在に土地、建物が存在していれば、その土地等の所有者に請求されますが、1月1日現在で建物が存在しなければ(解体工事が完了していれば)、請求されません。
では、解体工事には着手しているけど、解体工事は完全には終わっていない場合、どうなるかのでしょうか。解体工事が完了していないから、固定資産税は課税されてしまうのでしょうか。
本日の記事は、そのような悩みに答える記事となります。
固定資産税とは
まず、固定資産税とはどういう風に課税されるのか見ていきたいと思います。
各地方自治体では、1月1日を基準日として、調査員が現地を調査したり、ヘリコプターや飛行機を飛ばして航空写真を撮影するなどして、土地や建物の利用状況の調査を行っています。
その調査の結果、建物が現に有していれば、毎年4月頃に固定資産税・都市計画税の納税通知書と納付書(請求書)が送られてきます。
よって、調査の結果1月1日の時点で建物が残存していると、その建物所有者につき1年分の固定資産税納税義務が発生することとなります。
これは、年度の途中で建物を解体して更地にしたとしても日割計算で還付されることはありませんが、1月1日時点で建物が解体されていれば、課税されないものとなっています。
解体工事に着手しているものの、解体工事が完了していない場合、固定資産税は課税される?されない?
固定資産税の課税される建物は、不動産登記法上の建物と同じ意味となりますので、不動産登記規則に答えが書いてあることとなります。不動産登記規則111条の建物は、次のように定めています。
(建物)
第百十一条 建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。
不動産登記規則111条
要するに、建物は、
(1)屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し(外気分断性)
(2)土地に定着した建造物(土地への定着性)
(3)その目的とする用途に供し得る状態にあるもの(用途性)
という要件を満たすものでなければならないとなっています。
この点、大分県玖珠町のホームページでは、以下のとおり解説されています。
(1)外気分断性とは、屋根及び周壁又はこれに類するもの(三方向以上壁で囲われている 等)を有し独立して風雨をしのぐことができることをいいます。支柱と屋根材のみで作られた駐輪場やカーポートなど、周壁のないものについては、外気分断性は認められません。
駅の乗降場や、野球場の観覧席など、二方向以上開けておくことが望ましい場合、完全な外気分断性が認められなくても家屋として認定されます。(2)土地への定着性とは、基礎等で物理的に土地に固着していることをいいます。コンクリートブロックの上に、市販の簡易物置やコンテナを乗せただけの状態では、土地への定着性は認められません。
工事現場の短期間用の仮設事務所などで、土地への定着性が完全に認められないものであっても、課税の基準日である1月1日(賦課期日)を含めて相当期間継続して存在し、他の一般的な家屋と同程度の施工が施されているものについては、課税対象として取り扱うことが適当とされています。(3)用途性とは、建造物が家屋本来の目的(居住・作業・貯蔵等)を有し、その目的とする用途を達成できる一定の空間を確保していることを言います。
大分県玖珠町のホームページ
最終的には、建物が存する市町村の判断となりますが、上記の(1)~(3)の建物の要件に該当しないまでに解体工事が完了していれば、固定資産税が課税されない場合があります。
例えば、建物全体が解体されてなくても、屋根や壁の一部を撤去している場合などです。
どのような状態であれば、建物の要件を満たさないのか、あらかじめ市町村の担当部署に相談するとよいと思います。その相談の内容に応じて、工事業者さんに解体工事の指示をしておけばよいですよね。
また、その相談の際に、滅失届を提出してくださいと言われると思いますので、役所の方の指示に従って行動すれば、翌年の固定資産税が課税されないこともありうることとなります。
まとめ
本日は、解体工事と固定資産税の関係について説明しました。もし、ご自身が同じような場面に直面された際は、上記の記事を参考にしていただいたうえで、税理士さんや司法書士さんなどの専門家の意見も聞いていただいたうえで、ご検討をお願いします。
ご覧いただきありがとうございました。
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